「カギ」となる人物として扱われる人になりたい

どんなことであれ、それが成功するか失敗するかをわけるポイントになるのは、「カギ」となる人物の存在だということなのだろう。だからこそ、その人物、いわゆるキーパーソンを見極めることこそが、交渉をうまく進めるためのコツであるとも言えるのだ。この見極めに関しては、たとえば名刺の肩書だけで判断することは危険である。実際、肩書だけなら明らかに下と思われる人物が、その交渉テーブルを仕切ってしまうことは良くある。つまり知識や能力が高いからといって出世できるわけでもなければ、無能だからといって出世しないわけでもないのだ。

また実際にその場にはいなくとも、交渉の行方を左右するという人物も存在する。これもやはりキーパーソンと呼ぶにふさわしい人物であるが、ときにその人物の「名前」だけが勝手にひとり歩きをはじめ、本人の知らない場所で思わぬ効力を発揮しているなんてことまである。

トラブルの主因となる人物もまた、別の意味でキーパーソンだろう。クセのある人物に多く、その人物の暴走を防ぐことで、物事がスムーズに進むなんてこともあるのだが、そうした人物の多くは、能力的に高い技能や知識を有していることも多々あり、それが良い方向に働いた場合は非常に良い結果を生むかわりに、悪い方向へ向かった場合は最悪の結果を招いたりすることがある。良い結果を生んだ場合は、その人物のことをキーパーソンと呼ぶわけだが、悪い結果を招いてしまった場合、同じ人物がトラブルメーカーと呼ばれることになるのだ。
いずれにしろ、強い影響力と存在感を持った人物こそが真のキーパーソンであり、そのことはそうでない人間には全く理解できないことでもある。願わくば、「カギ」となる人物として扱われる人になりたいものだと思うのだが、こればっかりはなろうとしてなれるものでもなく、地道な努力だけでどうなるものでもないのだろう。
人間万事塞翁が馬といったところなのかもしれない。