自宅に帰ると金庫が荒らされていた

アパートの前にパトカーが停まっていたので、急病人でも出たのかと思った。救急車じゃなくてパトカーだから、急病人という発想はおかしいのだが、なぜかその時はそう思ってしまったのだ。アパートの階段をあがり外廊下をゆっくり歩いていくと、階段からすぐの部屋から全て扉が開けられている。なんと4戸目の俺の部屋の扉も開いているじゃないか。急病ではなく火事なのか、何事なんだ。自分の部屋の前に立つと、入口の所でお巡りさんが無線のようなものでどこかとやりとりしている最中だった。俺の姿を見つけると、家主かと聞かれた。

なんと、アパート全体に、空き巣が入ったようだと言う。どの部屋も荒らされていて、俺の部屋も扉が開いていたらしい。部屋が荒らされているから、無くなっているものを確認して欲しいとのこと。あまりの出来事で心臓がバクバクしたが、自室に一歩踏み込んでみると、いつもと変わらない俺の部屋だった。荒らされていない。ただ、俺がいつも散らかしているだけだ。なんだ、空き巣なんて入られていない、そう思いかけた時、テレビの下の棚の中にあった手持ち金庫が棚から引きずり出されているのに気がついた。半開きの手持ち金庫のフタを開けてみると、数千円分入っていたはずの現金が、なくなっていた。これは、間違いなく俺が出したものではなかった。被害は、この金庫の中身だった。

自分の部屋ながら、よくこれだけ散らかった部屋から、手持ち金庫を見つけだしたと思う。しかも、中身はたった数千円。他の部分はそれ程荒らされているという印象はないから、きっとすぐにこの金庫を見つけたのだろう。そして他に盗むものがないから、金庫の中の小銭まで、綺麗さっぱり持っていったのだろう。

俺の部屋の被害金額は少ないが、他の部屋は結構な被害額が出ているらしい。こんなにボロいアパートなのに、空き巣ってのはわかっているのだなと、妙に感心してしまった出来事だった。
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